成田尚哉 Collage展 〜バロック26〜
映画プロデュースの傍ら、ボックスオブジェやコラージュ作品の制作・発表を行う、成田尚哉の個展を開催いたします。
今回の構成はA〜Zまでのアルファベットを模した作品群。文字の一つづつが持つ意味や形に縛られながらも、そこから解放されるための格闘の末、出来上がった世界。是非、覗きにいらしてくださいませ。
「Baroque26に寄せて」
アルファベット26文字にコラージュを施すことにあまり意味はありません。条件付きの中で何か発見があるのかと思いましたが意外に難作業になりました。だからと言って基本姿勢は変わらず、ただ26文字を「生かす」というよりは「殺す」という作業にできないか、と考えました。アルファベットは言葉の一部ですから意味を内包します、それに縛られるのではなく意味を失くすことができないか、と。それでもアルファベットの文字の一つずつは強固で侮りがたい形象(造形)で、格闘しているうちに平面のコラージュではあるけれど立体的なオブジェが現出するような瞬間もあったような気がします。残念ながら創作中にヨロコビや愉しみを感じたことはありません、憂鬱な営為です。何故なら「完成したモノをイメージできない」からです。コラージュは素材の断片の中から手と眼で作ります。「手が考える」ということなのでしょう。しかし偶然か必然か生まれたモノをみて「これ以上何もすることがない」と思う瞬間が、安堵の気持ちというか解放されたというか、それがヨロコビなのかもしれません。母胎の違う素材同士が”出会う”のがコラージュですがパロディやコミカルな表現へと向かうことに私は嫌悪を覚えます。安易にシュールな効果を喜ぶことに抵抗があります。確かにコラージュは「夢の法則」に従っているのかもしれません。映画を表現するようにコラージュを作れないか、超現実的な出会いが唐突な滑稽味を超えてもう一つの世界を作ることができないのか、と夢想しています。ジャン・コクトーの映画「オルフェ」のような生と死の境界が溶け出した世界がコラージュの舞台だと考えています。だからこそ死という虚無の世界に抗うように立ち現れる「官能」と「美」を掴まえようとすること、それがコラージュを作る意味だと考えています。(成田尚哉)
[会期]
2019年9月27日(金)〜10月5日(土)
※初日9月27日(金)18:00〜20:00の時間帯、レセプションパーティー(入場無料)を行います。お気軽にご参加下さい。
[時間]
12:00〜19:00
[会場]
SMART SHIP GALLERY